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「はぁ、はぁ、はぁ」
肩にかかる君の重みが徐々に増していく。立っているのもやっと、意識を保っているのもやっとの君を、おぶることのできない小さな身体が歯がゆくてたまらない。精一杯肩を貸しながら、君を連れて、まるでこの町に来た時と同じように、必死に二人で駆け抜ける。境界へ、運命を分かつあの場所へ、もう少し、あとほんの少し。
「いいから、私をおいて……」
「バカなことを言うな!」
大丈夫。もう壁は目と鼻の先。あそこをくぐれば、もう心配することなど何もない。助かる。君は必ず、僕が助けるから。
「開けろ!!ここを開けるんだ!!」
閉ざされた門。外からは決して開けることのできない向こう側への入り口。
「誰だこんな時間に……おや、これは陛下」
王の姿をこんな場所で見つけたというのに、その門兵はどこか落ち着きすぎていた。
「そうだ、私だ。病人がいる。早くここを開けろ!」
「病人?……その方は!」
「そうだ、汚染病で死に掛けている!早く、早くここを!」
「汚染病」
もどかしい。一体こいつは何を考えている。この僕が開けろといっているのに、何故そんなに悠長としている!
「ならば、ここを開くわけにはいきませんなあ」
「何だと!?」
「こちら側に、そちら側の不浄のモノを入れるのは、いくら陛下の命であれ許すわけにはいきません」
「なっ!!わかっているのか、彼女はモノなんかじゃない!この国の次期女王、僕の――」
「ええ。ですが、それがこの国の法」
冷ややかな目線。
「あなたがお決めになったのですよ?」
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